点検商法の手口と断り方|急増する分電盤の勧誘に注意

強引な勧誘・悪質商法へのそなえ

点検商法の手口と断り方を、公的機関の公表資料をもとに見ていきます。「分電盤の点検に行きます」という電話から始まる勧誘の相談が、2024年度に急増したと国民生活センターが公表しました。同じ手口の相談は2025年度も続いています。手口を先に知っておけば、備えられます。断り方のセリフ実例まで、順番に確認していきましょう。(更新日:2026年8月10日)

先に結論:突然の「点検」はその場で契約しない

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イメージ(AI生成)

結論からお伝えします。守ることは3つだけです。①突然の電話や訪問による「点検」は、その場で契約しない。②本物の点検(法令に基づく無料の定期調査)の仕組みを知っておく。③困ったら一人で判断せず、消費者ホットライン188に相談する。この3つを押さえておけば大丈夫です。以下で1つずつ見ていきます。

点検商法の手口|報告されている実例

国民生活センターによると、分電盤(ブレーカーの集まった箱)の点検商法に関する相談は、2024年度は11月30日までに461件でした。前年同時期の約25倍に急増しています。契約当事者の8割が70歳以上と報告されています。報告されている勧誘の言葉と実際の状況を表にまとめます。

勧誘で使われた言葉 報告されている実際の状況
「分電盤は15年で交換すると法律で決まっている」 事実と異なる説明として国民生活センターが紹介しています
「漏電による火災は保険の対象にならない」 不安をあおる勧誘の例として報告されています
「市の委託を受けて点検に来た」 市に確認すると無関係だった事例が報告されています(23万円で契約した90歳代の方の例)

共通するのは、不安をあおってその場で契約を迫る流れです。特定の会社を疑う話ではなく、「この流れが来たら注意」と覚えておくのがポイントです。

相談は今も続いています|2025年度の状況

「もう落ち着いたのでは」と思うかもしれません。ですが、油断はまだ早いようです。国民生活センターが2026年8月5日に公表した2025年度の相談概要では、全国の相談件数は100.6万件。前年度の91.3万件から約9万件増えました。商品・役務等別で見ると、「他の役務サービス」(分電盤やガス給湯器の点検の勧誘があった等の点検商法など)の増加が目立ったカテゴリーの1つとして挙げられています。契約当事者の年齢層は、全相談を通じて70歳以上の割合が最も高く25.6%でした。

ここで1つ注意です。この25.6%は相談全体の集計で、分電盤の点検商法だけを取り出した最新の数字ではありません。分電盤単体の2025年度の詳しい件数は、この記事の執筆時点では公表を確認できていません(未確認)。ただ、「同じ種類の手口が引き続き報告されている」こと自体は確かな情報です。過去の話と思わず、今も注意を続けてください。

本物の点検との見分け方|法定の無料調査を知っておく

ここが今日いちばんの備えです。一般家庭の電気設備には、法令に基づく定期調査があります。経済産業省によると、電力会社等や登録調査機関が4年に1回以上の頻度で行い、調査は無料です。日時は事前に書面で案内され、調査員は身分証(調査員証)を携帯しています。本物の調査と、報告されている点検商法の違いを表で比べてみましょう。

項目 本物の法定調査 点検商法で報告されている特徴
連絡の来かた 事前に書面で案内 突然の電話や訪問
頻度 4年に1回以上 「今回だけ」「今すぐ」と急かす
費用 無料 その場で数万円〜数十万円を提示
身分証 調査員証を携帯 提示を渋る、または確認しづらい

「突然の電話や訪問で、その場でお金の話になる点検」は、法定調査の仕組みとは別物です。不審に思ったら、案内書面の有無と身分証の確認を求めてください。確認を嫌がる相手なら、応じる必要はありません。

断り方のセリフ実例|そのまま使えます

迷ったときは、状況に合わせて次のセリフをそのまま使ってください。はっきり断ってかまいません。

状況 そのまま使えるセリフ
電話がかかってきた 「点検はお願いしていません。お引き取りください」
訪問してきた 「家族と相談して、必要ならこちらから連絡します。会社名と連絡先を教えてください」
その場で契約を迫られた 「その場では契約しないと決めています」
しつこく食い下がられた 「これ以上のご案内は結構です。失礼します」

相手の会社名や連絡先を聞いておくと、あとで自治体や188に伝えるときの手がかりになります。聞けなくても、断ること自体を優先してください。

万一契約してしまったら|クーリング・オフは8日間

その場で契約してしまっても、あきらめる必要はありません。消費者庁の特定商取引法ガイドによると、訪問販売は契約書面を受け取った日を含めて8日間以内であれば、書面(はがきなど)で通知することで、無条件で解約できます。手順は次の通りです。①契約書面に記載された内容と受け取った日を確認する。②期限内にはがきへ解約する旨を記入する。③郵便局で特定記録郵便か簡易書留にして送る。④送付した書面のコピーを保管しておく。書面のやり取りに不安があるときや8日間を過ぎてしまったときも、消費者ホットライン188へ相談すれば対応方法を案内してもらえます。一人で抱え込まないでください。

家族の見守りチェックリスト|離れて暮らす親がいる方へ

点検商法は契約当事者の8割が70歳以上と報告されています。離れて暮らす家族がいる方は、帰省したときや電話のついでに、次の項目を確認しておくと安心です。

チェック項目 確認のしかた
分電盤や給湯器の点検の電話・訪問がなかったか 「最近、点検や工事の連絡はあった?」と聞いてみる
見慣れない契約書や見積書が残っていないか キッチンや玄関まわりを一緒に確認する
188の番号がすぐわかる場所にあるか なければ冷蔵庫などに貼っておく
電力会社の正規の連絡先を知っているか 検針票や公式サイトの番号を控えておく

あわてなくて大丈夫です。1つずつ確認するだけで、備えになります。

よくある質問

Q. 親が一人暮らしです。何を伝えておけばいいですか?

A. 「点検の電話や訪問が来たら、その場で決めずに家族へ電話して」の1つだけで十分です。分電盤の点検商法は契約者の8割が70歳以上と報告されています。冷蔵庫に188の番号を貼っておくのも効果的です。

Q. 本当に分電盤が古い場合はどうすれば?

A. 突然来た業者ではなく、自分で選んだ電気工事店や電力会社の窓口に相談してください。分電盤の交換は有資格者による工事が必要です。複数社から見積もりを取って比べれば、あわてずに判断できます。

Q. 断ったのに何度も来ます。どうすれば?

A. 一人で対応を続けず、最寄りの消費生活センター(電話188)や警察相談専用電話(#9110)に状況を伝えてください。日時や相手の名乗った会社名をメモしておくと、相談がスムーズです。

Q. 相手の会社名や連絡先を聞いてもいいですか?

A. 聞いてかまいません。あとで188や自治体に相談するときの手がかりになります。ただし、聞けたからといって、その場で契約書にサインする理由にはなりません。

備えは「手口を知っておく」だけでも十分に働きます。停電や災害への備えは台風の停電に備える記事を、電気まわりの見直しは電気代が高い家の共通点の記事もあわせてどうぞ。

困ったときは一人で判断せず、消費者ホットライン188(いやや)へ。

参考:国民生活センター「『分電盤の点検に行きます』の電話から始まる勧誘に注意」(2025年1月15日公表)/国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-」(2026年8月5日公表)/経済産業省「電気設備の点検等を装った訪問者に御注意ください」/消費者庁 特定商取引法ガイド(クーリング・オフ制度の解説)

画像:Pixabay