高齢者のサウナ・入浴事故に注意|脱水と転倒を防ぐ

家族を守る見守り

緊急時は自治体の避難情報に従ってください。

夏は入浴やサウナで体調を崩す高齢者の事故が目立つ季節です。離れて暮らす親や同居の高齢の家族に、どこに気をつけてほしいか。国民生活センターと消費者庁の注意喚起をもとに、具体的な事例と伝え方をまとめました。

実際に起きている事故|国民生活センターの事例

高齢者のサウナ・入浴事故に注意|脱水と転倒を防ぐのイメージイラスト
イメージ(AI生成)

国民生活センターの「見守り新鮮情報」第548号(2026年8月6日公表)には、次の2件の事例が紹介されています。

1件目は80歳代の男性。スポーツクラブのサウナで脱水症状を起こして転倒し、サウナ内の熱い箇所に触れて耳・顔・背中にやけどを負いました。皮膚移植を含む治療が必要になり、1カ月の入院となっています。

2件目は70歳代の女性。サウナ内で転倒した際、高温になっている部分に尻もちをつき、臀部(でんぶ)にやけどを負いました。

どちらも「脱水や体調不良からの転倒」がきっかけで、二次的にやけどを負っている点が共通しています。ここ、見落としやすいところです。転倒そのものより、転んだ先が高温部だったことで被害が大きくなっています。

参考:国民生活センター「見守り新鮮情報」第548号(2026年8月6日公表)

消費者庁のデータで見る事故の実態

消費者庁も「サウナ浴での事故に注意」という注意喚起を出しています。事故情報データバンクへの登録は78件・受傷者82人(2024年4月末時点)で、2014〜2021年度は平均4件程度だったのが、2022年度以降はそれぞれ10件と増えています。

受傷内容は、やけどが31件と最も多く、切り傷・擦り傷等が24件、骨折・打撲が14件と続きます。傷病の程度は、不明なものを除くと「1〜2週間」が18人で最も多く、次いで「治療1週間未満」が14人、「1か月以上」が13人です。受傷者の年齢は「40〜59歳」が28人、「60〜79歳」が25人で、年齢が不明な11人を除くと合わせて約7割を占めています。

消費者庁によると、40歳未満の受傷内容は外傷がほとんどである一方、40歳以上ではめまい・意識障害や循環器障害も含まれています。心筋梗塞の既往がある50歳代の女性が、スポーツクラブのサウナ利用中に心臓発作を起こして3日間入院した事例も紹介されています。あわてなくて大丈夫ですが、こうした事例があることは知っておきたいところです。

参考:消費者庁「サウナ浴での事故に注意 ― 体調に合わせて無理せず安全に ―」(2024年6月5日公表)

事故が起きやすい場面を表で整理

2つの一次情報から、事故が起きやすい場面と対策を表にまとめました。

起きやすい場面 何が起こるか 対策
サウナ内での転倒 熱い壁・ベンチに触れてやけど 高温部分に手をつかない・ゆっくり立ち座りする
脱衣後すぐの入室 急な温度変化で体調が急変しやすい シャワーなどで少しずつ体を慣らしてから入る
サウナから水風呂への移動 激しい温度変化で体に負担がかかる 急に冷水へ入らず、まずかけ湯などで体を慣らす
室内・出入口の床 濡れて滑りやすく転倒しやすい 手すりを使う・小走りしない
体調不良のまま利用 脱水・めまい・意識障害につながる 水分をこまめに取り、無理せず途中で切り上げる

参考:国民生活センター「見守り新鮮情報」第548号/消費者庁「サウナ浴での事故に注意」を基に作成

離れて暮らす親に伝えたい3つのポイント

帰省で顔を合わせるタイミングなどに、次の3点だけでも伝えておくと安心です。専門用語ではなく、そのまま話せる言葉にしています。帰省時の見守りは帰省時に親の見守りチェック|契約・電話・玄関の3点でもまとめています。

1. 「熱いところに触らない」サウナ内のベンチや壁は高温です。ふらついたときに手をついてやけどをする事例が実際にあります。立ち座りはゆっくり、手すりがあれば使うようお願いしましょう。

2. 「水分は多めに」サウナや長めの入浴では汗で水分が失われます。利用の前後にこまめに水分を取るよう声をかけてください。のどが渇く前に飲むのがポイントです。

3. 「体調が悪い日は休む」持病がある、寝不足、飲酒後などは無理をしないことが大切です。施設に掲示されている注意事項も一度確認してみてください。

急な温度変化への備え

消費者庁は、急にサウナや水風呂に入ると激しい温度変化で心筋梗塞や脳出血を起こすおそれがあるとして、体を慣らしながら自分に合った利用をするよう呼びかけています。脱衣所と浴室、サウナと水風呂のように、温度差が大きい場所を急に行き来する場面は要注意です。

できることはシンプルです。脱衣所や浴室をあらかじめ暖める、サウナから水風呂へ一気に移動せずシャワーなどで段階を踏む。体調に不安がある場合は、利用前に主治医へ相談してください。停電など普段と違う環境での高齢の家族の備えは高齢の親の停電対策|医療機器・冷蔵庫・連絡の備え方もあわせてご覧ください。

参考:消費者庁「サウナ浴での事故に注意 ― 体調に合わせて無理せず安全に ―」(2024年6月5日公表)

よくある質問

Q. サウナは高齢者に危険なので避けるべきですか?

A. 一律に禁止すべきという趣旨の注意喚起ではありません。消費者庁・国民生活センターとも「無理せず体調に合わせて利用する」ことを呼びかけています。持病がある場合は主治医に相談してから利用を判断してください。

Q. 家庭のお風呂でも同じ注意点は当てはまりますか?

A. サウナ特有の事例を紹介していますが、急な温度変化での体調急変や、濡れた床での転倒は家庭の浴室でも起こり得ます。脱衣所を暖める、浴室と脱衣所の温度差を減らす、といった対策は家庭でも参考になります。

Q. 一人で入浴中に倒れたらどう気づけますか?

A. 本記事では見守りの具体的な機器選定までは扱っていません。日頃の電話連絡や訪問の頻度を増やす、入浴時間帯を家族で共有しておくといった、まず声をかけ合う工夫から始めるのが実践的です。

まとめ

高齢者のサウナ・入浴事故は、脱水や体調不良からの転倒がきっかけになり、そこに高温部分でのやけどが重なって重症化するケースが目立ちます。「熱いところに触らない」「水分は多めに」「体調が悪い日は休む」の3点を、帰省や電話のタイミングで一度伝えてみてください。備えれば大丈夫です。