緊急時は自治体の避難情報に従ってください。
離れて暮らす高齢の親は、停電や災害が起きたとき、本人だけでは対応しきれないことがあります。とくに気にかけておきたいのが「医療機器」「冷蔵庫の食品」「連絡手段」の3つです。今日決めておけば、いざというときにあわてずに動けます。
まず確認したい3つのポイント

離れて暮らしていると、親の家の設備や持病を全部把握できていないことも多いはずです。ここだけ押さえておけば大丈夫です。
| 確認ポイント | やること |
| 電源が必要な医療機器を使っているか | 機種・バッテリー駆動時間・業者の緊急連絡先を聞いておく |
| 冷蔵庫の食品管理 | 停電が長引いたときの食べる/捨てるの目安を共有しておく |
| 連絡手段 | 停電時に固定電話が使えない前提で、複数の連絡方法を決めておく |
①在宅酸素・人工呼吸器を使っている場合の備え
親が在宅酸素療法や人工呼吸器を使っている場合、停電時の対応は自己判断せず、医療機器メーカーや保守点検業者、主治医への確認が基本です。国立成育医療研究センターの災害対策マニュアルでは、外部電源を確保する方法として次の4つが挙げられています。どれか1つだけに頼らず、組み合わせて考えておくと安心です。
| 方法 | 内容 |
| 方法1 | 機種専用の外部バッテリーを用意する(メーカー正規品。複数あると安心) |
| 方法2 | 市販の蓄電池をレンタルまたは購入し、平常時から充電しておく |
| 方法3 | 自動車のシガーソケットや車内コンセントから電源を取る(車種で方法が異なるため事前確認が必要) |
| 方法4 | 発電機を用意する(屋外使用が原則。一酸化炭素中毒に注意) |
酸素濃縮器を使っている場合は、停電時は基本的に酸素ボンベへの切り替えで対応します。装置によって内蔵・外付けバッテリーの有無や駆動時間が異なるため、「うちの親の機器は何時間もつのか」を先に聞いておくと落ち着いて行動できます。消費電力の見積もりも、仕様書の表記だけで判断せず、必ずメーカーに確認するよう案内されています。
車から電源を取る方法は車種によって差があります。エンジンを先に始動させてから機器をつなぐ、ガソリン残量に注意する、換気の悪い場所でエンジンをかけないなど、注意点も多いため「うちの車ではどうやるか」を平常時に一度試しておくと安心です。
参考:国立成育医療研究センター「災害対策マニュアル 医療機器が必要な子どものための~電源確保を中心に~」(在宅医療機器を使う方全般の考え方として参照)
②冷蔵庫の食品、停電が長引いたときの目安
一人暮らしの親の冷蔵庫は、家族が思っている以上に食品が詰まっていることがあります。停電時にドアを開けずに保冷する基本の考え方や、食べる/捨てるの判断基準は、別記事「停電後の冷蔵庫、食べていい?捨てる目安と食中毒対策」にまとめています。離れて暮らす親には、この基準をあらかじめ電話やメモで共有しておくと、停電中に自己判断で不安な食品を口にするのを防げます。
合わせて、保冷剤や凍らせたペットボトルを冷凍室にいくつか常備してもらうよう頼んでおくと、停電時に冷蔵室へ移して庫内温度の上昇を抑えられます。夏場は食品の傷みが早いだけでなく、冷房が使えないことによる熱中症のリスクも重なります。環境省は、高齢者は熱中症になりやすく、家族や身近な人による見守りや声かけが大切だとしています。停電中は「食品の心配」だけでなく「本人の体調」もあわせて気にかけたいところです。
参考:環境省 熱中症予防情報サイト
③連絡が取れないときの手段を決めておく
災害時は固定電話がつながりにくくなることがあります。停電時の対応や安否確認の基本的な考え方は「災害時の安否確認どうする?家族で決めておく3つのルール」で紹介した内容と重なりますが、離れて暮らす親とは特に、次の手段を事前に確認しておきましょう。
| 手段 | 使い方の目安 |
| 災害用伝言ダイヤル(171) | 被災地側の電話番号を入力し、続けて録音は「1」、再生は「2」を押す。NTT東西の加入電話・ひかり電話・公衆電話などから利用可能 |
| 災害用伝言板(web171) | インターネット経由で電話番号をキーにテキストの伝言を登録・確認できる。メール通知先は最大10件まで登録可能 |
| 複数の連絡経路の確保 | 親本人の携帯電話に加え、近所の親戚・知人・自治会など「もう一つの連絡先」を決めておく |
171・web171には体験利用日があり、毎月1日と15日のほか、防災週間(8月30日〜9月5日)などにも使えます。実際に親と一緒に一度使ってみると、いざというときに迷わずに済みます。
参考:NTT東日本「災害用伝言ダイヤル(171)」「災害用伝言板(web171)」
今日決めておきたいチェックリスト
| 項目 | 確認済み |
| 親が使っている医療機器の種類とバッテリー駆動時間 | □ |
| 医療機器メーカー・保守業者の緊急連絡先 | □ |
| 停電時の冷蔵庫対応の基準を共有した | □ |
| 171・web171の使い方を一緒に確認した | □ |
| 親本人以外のもう一つの連絡先 | □ |
全部を一度に済ませようとしなくて大丈夫です。次に帰省したときや電話のついでに、1つずつ確認していけば十分です。
よくある質問
Q. 人工呼吸器や酸素濃縮器を使っている親が停電したら、まず何をすればいいですか?
A. 事前に確認しておいた医療機器メーカー・保守点検業者の緊急連絡先へ連絡してください。酸素濃縮器は停電時には使えないため、基本的には酸素ボンベへの切り替えで対応します。バッテリー駆動時間や具体的な手順は、機器によって異なるため必ずメーカーに確認しておきましょう。
Q. 離れて暮らす親と連絡が取れないときはどうすればいいですか?
A. 災害用伝言ダイヤル171(電話番号を入力して録音・再生)や、インターネットで使える災害用伝言板web171を使う方法があります。親本人の携帯電話だけでなく、近所の親戚や知人など、もう一つの連絡先も事前に決めておくと安心です。
まとめ
離れて暮らす親の停電・災害対策は、医療機器・冷蔵庫・連絡手段の3点を事前に確認しておくことがポイントです。医療機器を使っている場合はメーカー・主治医への確認が最優先、冷蔵庫の対応基準は事前共有、連絡手段は171・web171を含めて複数用意しておく。今日からできるところだけでも、少しずつ進めておきましょう。


