停電で熱中症を防ぐ|エアコンなしで夏を乗り切る備えと手順

停電・災害時の備え

緊急時は自治体の避難情報に従ってください。

※本記事にはプロモーションが含まれます

夏の停電でいちばん怖いのは、エアコンが止まることによる熱中症です。停電の熱中症対策は、道具をそろえることと、暑くなったときの動き方を決めておくことの2つです。この記事では、家族人数別の備蓄量、体を冷やす手順、ポータブル電源で扇風機が何時間動くかまで、数字で整理します。あわてず備えれば大丈夫です。

停電で熱中症が起きやすい理由

停電で熱中症を防ぐ|エアコンなしで夏を乗り切る備えと手順のイメージイラスト
イメージ(AI生成)

停電が起きると、エアコンも扇風機も止まります。真夏の室内は、外より暑くなることもあります。特に、日中に閉め切った部屋は熱がこもりがちです。

意外に思うかもしれませんが、熱中症で運ばれる人がいちばん多い場所は「住居」です。消防庁のまとめでは、2025年(令和7年)5〜9月の救急搬送は10万510人で、調査を始めた2008年以降で最多でした。その内訳が下の表です。

区分 人数 割合
総搬送人員(2025年5〜9月) 100,510人 100%
発生場所:住居(敷地内を含む) 38,292人 38.1%
年齢:高齢者(65歳以上) 57,433人 57.1%
入院が必要(中等症+重症) 36,616人 36.4%

数値の出典:総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」確定値。入院が必要の行は中等症34,399人と重症2,217人の合算。

3人に1人以上が、家の中で倒れています。エアコンが動いている平時でこの数字ですから、停電で冷房が止まればさらに条件は厳しくなります。だからこそ、電気が止まっても暑さをしのげる備えが役立ちます。

停電の前に備えておくもの

電気に頼らず涼をとる道具を、少しずつそろえておきましょう。特別なものは要りません。

備えるもの 使い方・そろえ方の目安
保冷剤・氷 タオルで包んで首やわきの下に当てる。冷凍庫のすき間に詰めておくと庫内が長くもちやすい
うちわ・手持ち扇風機 ぬれた肌にあおぐと涼しさが増す。乾電池式は停電に強い。予備電池も一緒に
飲料水 1人1日3リットルが目安(飲用+調理用)。最低3日分、できれば1週間分
経口補水液・塩あめ 汗で失う水分と塩分をおぎなう。塩分制限がある方はかかりつけ医に相談を
ぬれタオル・霧吹き 体をふく、肌に霧を吹いてあおぐ。体ふきシートも便利
電池式ラジオ・モバイルバッテリー 復旧の見通しを知る。充電は涼しいうちに満タンへ

水の目安の出典:農林水産省「家庭備蓄ポータル」(1人1日3リットル、最低3日分〜1週間分)

水の量は、人数と日数をかけ算するだけで出せます。前提は「1人1日3リットル」。2リットルのペットボトル換算も入れておきます。

家族の人数 3日分 1週間分 1週間分の2Lボトル換算
1人 9L 21L 約11本
2人 18L 42L 21本
3人 27L 63L 約32本
4人 36L 84L 42本

試算条件:1人1日3リットル×人数×日数。2Lボトル換算は小数点以下を切り上げ。体格・気温・持病により必要量は変わります。

4人家族の1週間分は42本。かなりの量ですが、一度にそろえなくて大丈夫です。買い物のたびに1〜2本足していけば、無理なく積み上がります。

停電中に体を冷やす手順

暑さを感じたら、太い血管が通る場所を冷やすのが近道です。環境省の資料でも、体表近くに太い静脈がある部位を冷やす方法が紹介されています。具体的には、首の両側・わきの下・足の付け根(前面)の3か所です。

停電中にやることを、順番に並べておきます。迷ったら上から順に。

順番 やること ポイント
1 いちばん涼しい部屋へ移る 北側の部屋・1階・風の通る部屋。日の当たる部屋は避ける
2 窓を対角線上に2か所開ける 入口と出口をつくると風が通る。防犯上開けられない場合は無理をしない
3 衣服をゆるめる 襟元・ベルトをゆるめ、熱を逃がす
4 首・わきの下・足の付け根を冷やす 保冷剤や冷やしたペットボトルをタオルで包んで当てる。直接肌に長く当てない
5 肌をぬらしてあおぐ ぬれタオルや霧吹き+うちわ。気化熱で体温が下がりやすい
6 水分と塩分をこまめにとる のどが渇く前に。経口補水液があればなお安心

ここだけ押さえておけば、だいぶ楽になります。カーテンやすだれで日ざしをさえぎるのも効きます。窓の外側でさえぎるほうが、熱の入り方を抑えやすいと言われています。

救急車を呼ぶ判断の目安

迷ったときのために、線引きを決めておくと動きやすくなります。

様子 対応
めまい・立ちくらみ・筋肉のこむら返り 涼しい場所へ移し、冷やして水分・塩分。そばで見守る
頭痛・吐き気・体がだるい・力が入らない 自力で水分がとれない、または改善しないなら医療機関へ
呼びかけへの反応がおかしい・まっすぐ歩けない ためらわず119番。到着まで冷やし続ける
けいれん・意識がない すぐ119番。水を飲ませない(のどに詰まるおそれ)

参考:環境省「熱中症の対処方法(応急処置)」・熱中症環境保健マニュアル

停電時は、救急車の到着に時間がかかることも考えられます。早めの判断を心がけてください。

高齢者・乳幼児は特に注意

同じ部屋にいても、暑さの感じ方は人それぞれです。高齢の方は、のどの渇きや暑さに気づきにくいことがあります。乳幼児は、体温の調整がまだ苦手です。搬送された人の半数以上が65歳以上という数字も、そこを裏づけています。

確認すること 頻度 気になるサイン
声をかけて返事を見る 1〜2時間おき ぼんやりしている、受け答えがかみ合わない
水を飲めているか 1〜2時間おき コップが減っていない、自分から飲まない
顔色・汗の出方 そのつど 顔が赤い、汗が急に止まった、皮膚が熱い
離れて暮らす親への電話 朝・夕の2回 エアコンを使っているか、水を飲んでいるか

あわてなくて大丈夫です。「暑くない?」と声をかけ、水をすすめる。この繰り返しが、いちばん効きます。

ポータブル電源で扇風機は何時間動く?

ポータブル電源(持ち運べる大きな電池)があれば、扇風機や小型の冷風機を動かせます。ただし、消費電力の大きいエアコンは、家庭用のポータブル電源では動かせないことが多いです。過信は禁物です。

目安は次の式で計算できます。

稼働時間(時間)≒ 定格容量(Wh)× 0.85 ÷ 家電の消費電力(W)

0.85は、電気を家庭用コンセントの形に変換するときのロスを見込んだ係数です。実際は製品や気温で変わるため、少なめに見ておくと安心です。

容量 扇風機 30W サーキュレーター 50W 小型冷風機 100W
256Wh 約7.3時間 約4.4時間 約2.2時間
512Wh 約14.5時間 約8.7時間 約4.4時間
1024Wh 約29.0時間 約17.4時間 約8.7時間

試算条件:変換効率85%で計算(例:512Wh×0.85÷30W≒14.5時間)。消費電力は説明のための仮の値です。お使いの家電の実際の値は、本体の表示や取扱説明書でご確認ください。容量・出力は製品ごとに異なります。

扇風機なら、512Whの電源でひと晩を越えられる計算になります。逆に、消費電力の大きい機器に使うと一気に減ります。夜のあいだだけ回す、といった使い方も有効です。なお、設置型の蓄電池は有資格者による工事が必要です。ご自身での配線はしないでください。

暑さから「逃げる」選択肢も持っておく

停電が長引き、家の中が危険な暑さになることもあります。そのときは、涼しい場所へ移るほうが確実です。

気候変動適応法にもとづき、市町村長が指定する指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)という仕組みがあります。公民館や図書館、ショッピングセンターなど、冷房のある施設が指定されます。環境省のまとめでは、2026年(令和8年)7月17日時点で1,255市区町村が指定済みです。

知っておくこと 内容
開放されるとき 熱中症特別警戒アラートが発表された期間中(指定の時間帯)
特別警戒アラートの基準 都道府県内のすべての観測地点で、翌日の日最高暑さ指数(WBGT)が35に達する予測などの場合
自宅が涼しい場合 移動は必須ではありません

参考:環境省「熱中症特別警戒情報とは」「指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)・リンク集」(2026年7月17日時点の集計)

大事なのは、停電したその日に調べ始めないことです。停電中はスマホの電池も貴重になります。近所のどこが涼しい場所になるか、いまのうちに1か所だけメモしておきましょう。指定状況や開放時間は市区町村で違うので、お住まいの自治体でご確認ください。

停電が来ると分かったらやること

台風接近など、停電が予想されるときの直前チェックです。保冷剤と水を凍らせて冷凍庫を満たす。スマホとポータブル電源を満充電にする。いちばん涼しい部屋を家族で決める。離れて暮らす親に連絡する。お風呂に水をためる。この5つで十分です。

よくある質問

Q. 停電中、冷蔵庫は開けてもいいですか。
できるだけ開けないでください。開けるたびに冷気が逃げ、庫内の温度が上がります。取り出すものを決めてから、短時間で開け閉めするのがコツです。

Q. 保冷剤は肌に直接当ててもいいですか。
タオルなどで包んで当ててください。直接、長時間当てると凍傷のおそれがあります。当てる場所は首の両側・わきの下・足の付け根の3か所です。

Q. ポータブル電源でエアコンは動かせますか。
家庭用の小型モデルでは難しいことが多いです。エアコンは消費電力が大きく、起動時にはさらに電力を必要とします。扇風機やサーキュレーターなど、消費電力の小さい家電に絞るのが現実的です。

Q. 水は何日分そろえればいいですか。
1人1日3リットルを目安に、最低3日分、できれば1週間分です。4人家族なら3日分で36リットル、1週間分で84リットルになります。

停電中の扇風機用に、容量から選べるポータブル電源をチェックできます
EcoFlow ポータブル電源

まとめ

夏の停電では、エアコンが止まることによる熱中症がいちばんの心配ごとです。押さえるのは3つだけです。保冷剤・水・電池式の扇風機を備えること。暑くなったら首・わきの下・足の付け根を冷やすこと。そして、危ないと思ったら涼しい場所へ移ること。

水は1人1日3リットル、扇風機30Wなら512Whのポータブル電源で約14時間。数字にしておくと、家族で共有しやすくなります。備えれば大丈夫です。

あわせて読みたい:台風の停電に備える|前日までにやること10と順番ポータブル電源の容量の選び方|家族人数別の目安早見表

参考:環境省 熱中症予防情報サイト(熱中症の対処方法・熱中症特別警戒情報・指定暑熱避難施設リンク集)/総務省消防庁 令和7年の熱中症による救急搬送状況/農林水産省 家庭備蓄ポータル