ハザードマップの見方|自宅のリスクを10分で確認

停電・災害時の備え

緊急時は自治体の避難情報に従ってください。

「うちの地域は大丈夫なはず」。そう思っている方ほど、一度ハザードマップを見てみてほしいと思います。実は浸水想定区域に入っていることを知らずに暮らしている人は少なくありません。ここでは、国土交通省の公式サイトを使って自宅の災害リスクを10分ほどで確認する方法を紹介します。あわてなくて大丈夫です。スマートフォンだけで終わります。

ハザードマップポータルサイトとは

ハザードマップの見方|自宅のリスクを10分で確認のイメージイラスト
イメージ(AI生成)

国土交通省と国土地理院が運営する「ハザードマップポータルサイト」は、全国どこでも無料で使えます。中身は大きく2つに分かれています。

重ねるハザードマップは、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報や、道路防災情報、土地の成り立ちを、地図や航空写真に重ねて表示できる仕組みです。住所を入れるだけで、自宅周辺の浸水想定区域と浸水深、土砂災害警戒区域、避難場所までまとめて見られます。

わがまちハザードマップは、各市区町村が法令にもとづいて作成した詳細なハザードマップへのリンク集です。より地域の実情に近い、最新の情報を確認したいときに使います。

まずは重ねるハザードマップで全体像をつかみ、気になれば自治体の詳細版を見る。この流れが分かりやすいです。

実際にやってみる:10分でできる3ステップ

難しい操作はいりません。ここだけ押さえておけば大丈夫です。

ステップ やること 目安時間
1 「重ねるハザードマップ」を開き、自宅の住所か最寄り駅名で検索する(「現在地から探す」でも可) 2分
2 「洪水」「土砂災害」「高潮」「津波」などの災害種別を切り替え、色のついた区域が自宅にかかっていないか見る 5分
3 指定緊急避難場所・指定避難所のアイコンを表示し、歩いて行ける場所を2〜3か所書き出す 3分

ステップ2で注意したいのが、洪水と高潮のように複数の浸水リスクが重なる場所です。地図には浸水深が最も大きくなる災害種別だけが表示されます。他の災害の浸水深は、それぞれの災害種別のアイコンをクリックして確認してください。

ステップ3で使う避難場所には2種類あります。混同しやすいところです。

種類 役割 確認のポイント
指定緊急避難場所 切迫した危険から命を守るために、いったん逃げ込む場所 災害種別ごとに指定が違う。「洪水は不可」の場所もある
指定避難所 自宅に戻れなくなったとき、一定期間滞在する施設 2026年7月13日から重ねるハザードマップでも確認できるようになった

ここまでで10分もかかりません。一度確認しておけば、台風や大雨の予報が出たときに慌てず判断できます。

色の意味を正しく読む:浸水想定の「前提」を知る

地図の色は、ある条件で計算した想定です。前提を知らないまま見ると、必要以上に安心したり不安になったりします。

区分 想定している雨の規模 読み方
想定最大規模 1年間にその規模を超える降雨が起きる確率が概ね1/1000以上とされる、想定し得る最大の雨 めったに起きないが、起きたときの最悪像。避難の判断はここを基準に
計画規模 同じく概ね1/10〜1/150。河川整備の基本となる雨 比較的起きやすい洪水の像。日常的な備えの目安に

前提:国土交通省の洪水浸水想定区域の区分による。数値は河川ごとに設定が異なるため、詳細は各河川の公表資料でご確認ください。

洪水では浸水継続時間家屋倒壊等氾濫想定区域も見られます。前者は水が引くまでの想定時間で、浅くても長引けば在宅避難の負担は大きくなります。後者は流れの勢いで建物が壊れるおそれがある範囲です。この区域では垂直避難ではなく、早めに区域外へ出る判断が前提になります。

家族構成別・見ておきたいポイント

同じ地図でも、家族の状況によって注目する項目は変わります。次の早見表を目安にしてください。

世帯の状況 優先して確認する項目 確認できるレイヤー
戸建て・浸水想定区域内 浸水深(2階まで届くか)と、垂直避難で足りるか 洪水浸水想定区域/家屋倒壊等氾濫想定区域
集合住宅(マンション等) 停電時のエレベーター停止・給水停止の想定、水が引くまでの時間 浸水継続時間
高齢の家族と同居/離れて暮らす親がいる 指定緊急避難場所までの距離・移動手段。早めに動く前提で考える 指定緊急避難場所/指定避難所
土砂災害警戒区域に近い 避難のタイミング(夜間の雨より前に動けるか) 土砂災害警戒区域・特別警戒区域
車で避難する予定がある 通り道の冠水しやすい場所、通行止めになりうる区間 道路防災情報(道路冠水想定箇所・事前通行規制区間)

見落としやすいのが最後の行です。避難所そのものは安全でも、向かう道にアンダーパスがあれば大雨のときは通れません。

地形分類・自然災害伝承碑も参考になる

「地形分類」のレイヤーは土地の成り立ちを示すもので、昔の川筋や谷を埋め立てた土地かどうかがわかります。区域指定がなくても、地形的にリスクが高い土地は存在します。意外に思うかもしれません。

「自然災害伝承碑」では、過去の災害の記録が残る石碑の場所が表示されます。国土地理院の公表によると、2026年3月6日時点で全国672市区町村・2,403基が掲載されています。近くに碑があれば、その土地で実際に起きたことを知る手がかりになります。

避難情報の言い方が変わりました(2026年5月28日〜)

地図で場所を確認したら、次は「いつ動くか」です。気象庁の防災気象情報は2026年5月28日午後から新しい形に切り替わり、情報名に警戒レベルの数字が付くようになりました。あわせて、警戒レベル4相当の情報として「危険警報」が新設されています。

警戒レベル 市区町村が出す避難情報 気象庁の情報(新しい呼び方の例) とる行動
1 早期注意情報 心構えを高める
2 レベル2 大雨注意報 ハザードマップで避難先を確認する
3 高齢者等避難 レベル3 大雨警報 高齢の家族や小さな子どもがいる家庭は避難を始める
4 避難指示 レベル4 危険警報(新設) 危険な場所から全員避難する
5 緊急安全確保 レベル5 大雨特別警報 すでに危険。少しでも安全な場所で命を守る行動を

情報名は災害の種類(大雨・土砂災害・洪水・高潮)ごとに変わります。運用の詳細は気象庁の案内でご確認ください。

覚えておきたいのは、レベル4の「避難指示」で全員避難という点です。かつての「避難勧告」は2021年に避難指示へ一本化され、今はありません。ハザードマップで色がついていた家なら、レベル3の段階で動き出すくらいでちょうどよいと思います。

確認したら、備えにつなげる

ハザードマップは見て終わりにせず、次の行動につなげることが大切です。最後に、10分の確認で書き出しておきたいことをまとめました。

チェック項目 書き出しておくこと
自宅の浸水深 想定最大規模で何mか。2階の床(目安3〜5m)を超えるか
家屋倒壊等氾濫想定区域 かかっている/いない。かかっていれば区域外への避難が前提
避難先 指定緊急避難場所を2〜3か所(災害種別ごとに使える場所が違う点も)
避難ルート アンダーパス・冠水しやすい場所を避けた道
動き出すタイミング 警戒レベル3か4か。家族の状況で決めておく

離れて暮らす親がいれば、同じ5項目を実家の住所でも確認しておくと安心です。紙に書いて冷蔵庫に貼る、家族のグループチャットに送っておく。それだけで、いざというときの判断が速くなります。浸水リスクがある地域なら停電への備えを、土砂災害警戒区域が近ければ早めの避難を意識しておきましょう。備えれば、慌てずに済みます。

よくある質問

Q. ハザードマップで色がついていない場所なら安全ですか。

A. 色がついていない場所でも浸水や土砂災害が起きることはあります。想定区域は、対象となる河川や斜面ごとに計算した結果です。中小河川や内水(下水道が処理しきれずあふれる浸水)は、区域図が整備されていない地域もあります。地形分類のレイヤーもあわせて見ておくと安心です。

Q. 重ねるハザードマップと市区町村のハザードマップ、どちらを信じればいいですか。

A. 避難の判断は、お住まいの市区町村が作成したハザードマップと避難情報が基本になります。重ねるハザードマップは全国を同じ基準で見渡せる入り口として使い、詳細は「わがまちハザードマップ」から自治体の版で確認するのがおすすめです。

Q. 浸水想定区域に入っていたら、引っ越すしかないのでしょうか。

A. そうとは限りません。浸水深が浅く、家屋倒壊等氾濫想定区域にも入っていなければ、2階以上への垂直避難で対応できる場合もあります。逆に家屋倒壊等氾濫想定区域なら、早めに区域外へ出る計画にしておく。区域に入っているかどうかより、どう動くかを決めておくことが大切です。

Q. 更新はどれくらいの頻度で確認すればいいですか。

A. 目安は年1回、台風シーズン前です。河川の区域図は見直されることがあり、避難場所の指定も変わります。防災の日(9月1日)や、大雨のニュースを見たときに開き直す習慣にしておくと忘れにくいです。

台風シーズン前の備えは、こちらの記事もあわせて参考にしてください。

台風の停電に備える|前日までにやること10と順番

防災リュックの中身|家族4人の最低限セット

参考:国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」(disaportal.gsi.go.jp)/国土地理院「自然災害伝承碑」/気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年〜)」/内閣府「避難情報に関するガイドライン」/国土交通省「洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ」