緊急時は自治体の避難情報に従ってください。台風や地震で住まいが壊れると、片付けよりも先に「住宅の応急修理はどこに頼むのか」「お金はいつ戻るのか」という不安のほうが先に来ます。実は、使える制度には順番があります。
この記事では、罹災証明書のあとに続く「住宅の応急修理」と「被災者生活再建支援金」を、申請する順番と金額の目安で整理します。基準額や期限は令和8年6月時点の自治体資料によるもので、お住まいの自治体の運用で変わることがあります。個別の判断は窓口で確認してください。
被災後に使えるお金の順番|罹災証明から住宅の応急修理まで

住宅が被災したときに使える主な制度は3つあります。①罹災証明書の申請、②住宅の応急修理、③被災者生活再建支援金です。この順番には理由があります。罹災証明書で確定する被害の区分(全壊・大規模半壊・半壊・準半壊など)が、②と③の対象・金額を決める基準になるためです。まず全体の流れを押さえておきましょう。
| 順番 | やること | 期限の目安 |
| ① | 罹災証明書の申請 | 片付け前に被害状況の写真を撮り、できるだけ早く申請 |
| ② | 住宅の応急修理の申込み | 修理完了は災害発生から3か月以内(国の災害対策本部が設置された災害は6か月以内) |
| ③ | 被災者生活再建支援金の申請 | 基礎支援金は13か月以内、加算支援金は37か月以内(いずれも災害発生日から) |
参考:千葉市「災害救助法による住宅の応急修理Q&A」(令和8年6月現在)/青森県「被災者生活再建支援制度」(2026年9月28日更新)
①罹災証明書は住宅の被害を証明する土台
罹災証明書は、住宅の被害程度を自治体が認定する書類です。②の応急修理も③の支援金も、この認定区分が対象・金額のベースになります。片付けを始める前に、外観と室内の被害がわかる写真を撮っておくと、あとの申請がスムーズです。罹災証明書そのものの申請方法や必要な写真の撮り方は、別記事で詳しくまとめています。
②住宅の応急修理|対象になる世帯と基準額
住宅の応急修理は、災害救助法にもとづいて自治体が修理業者へ直接工事費を支払う制度です。対象になるのは、住宅が大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊と認定された世帯です。全壊でも、応急修理をすれば住み続けられると判断された場合は個別に対象になることがあります。あわせて「自分の資力では修理できないこと」が要件とされており、どの区分でこの要件を求めるかは自治体の案内で確認してください。認定区分の判断も自治体や被害状況によって分かれるため、ここだけは窓口で聞いておくと安心です。
| 区分 | 基準額(1世帯あたり) |
| 大規模半壊・中規模半壊・半壊 | 75万7千円以内 |
| 準半壊 | 36万7千円以内 |
参考:千葉市「災害救助法による住宅の応急修理Q&A」(令和8年6月現在)/名古屋市「住宅の応急修理Q&A」(令和8年6月改定)/栃木県「住宅の応急修理」(令和8年)
基準額を超える部分は自己負担になります。また、災害の規模によっては内閣府との協議で特別に基準額が引き上げられることもあります。「ここまでしか出ない」と決めつけず、自治体の案内を確認してください。修理の完了期限は災害発生の日から3か月以内、国の災害対策本部が設置された災害では6か月以内です。
住宅の応急修理を装う業者には注意
国民生活センターは、災害に便乗した勧誘について「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など保険金が使えると持ちかける手口の相談が全国の消費生活センターに寄せられていると公表しています。屋根の無料点検のあとに高額な契約をさせられた、公的機関の職員を名乗る人が訪ねてきたといった相談事例も挙げられています。こういう手口が報告されている、と知っておくだけでも身構えが変わります。
あわせて、自治体の応急修理の流れも押さえておきましょう。この制度は自治体の窓口へ申込みをしてから進み、工事費は自治体が修理業者へ直接支払います。業者がその場で契約を持ちかけて進むものではありません。自分で契約して代金まで支払ってしまうと、あとから応急修理の対象にならないことがあります。支払いが済んでいなければ対象にできる場合があるとされているので、工事を進める前に自治体へ相談してください。
契約はその場で決めず、できれば複数社から見積もりを取って比べること、契約後でもクーリング・オフができる場合があることも、同センターが消費者へのアドバイスとして挙げています。少しでも不安があれば、一人で判断せず消費者ホットライン188(いやや)に相談してください。火災保険の修理をめぐる勧誘トラブルは、別記事でも事例を扱っています。
参考:国民生活センター「ご用心 災害に便乗した悪質商法」(2026年6月29日更新)/千葉市「災害救助法による住宅の応急修理Q&A」(令和8年6月現在)
③被災者生活再建支援金|基礎支援金と加算支援金
被災者生活再建支援金は、住宅の応急修理とは別枠の制度です。修理費そのものではなく、住宅の被害程度と再建方法(建設・購入/補修/賃借)に応じて現金が支給されます。2人以上の世帯の金額は次の表のとおりです。単身世帯は、それぞれの金額の4分の3になります。
| 住宅の被害 | 基礎支援金 | 加算支援金(建設・購入) | 加算支援金(補修) | 加算支援金(賃借) |
| 全壊・解体・長期避難 | 100万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
| 大規模半壊 | 50万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
| 中規模半壊 | なし | 100万円 | 50万円 | 25万円 |
参考:山梨県「被災者生活再建支援制度について」/青森県「被災者生活再建支援制度」(2026年9月28日更新)
申請期限は、基礎支援金が災害発生日から13か月以内、加算支援金が37か月以内です。どちらも「災害が起きたらいつでももらえる」わけではなく、住宅の全壊が市町村で10世帯以上、都道府県で100世帯以上などの一定規模以上の災害が対象です。小規模な被害では制度自体が適用されないこともあるため、対象になるかどうかはお住まいの自治体に確認してください。
よくある質問
Q1. 住宅の応急修理を自分で先に業者に頼んでしまったら対象外になりますか?
すでに修理業者へ代金を支払った工事は、対象にならないことがあります。支払いが済んでいない段階であれば対象にできる場合があるとされているので、工事を進める前に自治体の窓口へ相談してください。
Q2. 住宅の応急修理と被災者生活再建支援金は両方使えますか?
制度の仕組みが異なるため、要件を満たせば両方使える場合があります。応急修理は自治体が修理業者へ直接工事費を支払う仕組みで、生活再建支援金は被害程度や再建方法に応じて現金が支給される仕組みです。お住まいの自治体の窓口で確認してください。
Q3. 被災者生活再建支援金はどんな災害でも使えますか?
対象になるのは一定規模以上の災害に限られます。住宅の全壊が市町村で10世帯以上、都道府県で100世帯以上などの条件があり、小規模な被害では制度自体が適用されないことがあります。お住まいの自治体に適用の有無を確認してください。
まとめ|住宅の応急修理と支援金は順番で動く
住宅が被災したときに使えるお金は、罹災証明書→住宅の応急修理→被災者生活再建支援金の順に申請するとスムーズです。応急修理は基準額と完了期限が決まっていて、支援金には申請期限があります。どちらも「自分で先に動いてしまう」と対象から外れることがあるので、まずは自治体の窓口へ相談するところから始めてください。
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